2球サブミニチュアラジオキット(2DC-STD)製作記

ラジオ少年  原  恒 夫


1 はじめに

 年配の皆様には、少年のころの思い出の中に、「初歩のラジオ」に製作記のあったサブミニチュア管「5678」を使ったラジオのあったことをご記憶されておられることでしょう。MT管でさえ見たことの無かった筆者にとって、小指ほどの真空管があるということが想像が出来ませんでした。数十年後に「5678」に対面して、感激したものでした。ここでは、この5678を使って簡単なラジオを作ってみました。


2 製 作 
 
 さて、試作に入って困ったのは、真空管ソケットを使わないサブミニチュア管の配線は、部品を固定することが難しく、蛇の目のプリント基板を使うことにしました。ブレッドボードと同じような点と点をつなぎ合わせるような配線となりました。
 回路は、いたってシンプルな初段の5678で検波、そして、もう1本の5678を低周波増幅に使っています。B電源をなるべく低い電圧の電池にしたかったので、プレート負荷には、50Hの小型チョークを使っています。直流抵抗は数キロオームと低く、プレートに高い電圧をかけることが出来ます。
 ここで使ったB+の電池は9V電池と同じ大きさの22.5Vです。電極が上下に出ており、規格の電池ケースがみつからず単二電池のケースを厚紙で少し底を上げ、かつ+の電極のつながるところを少し半田盛りをして、電池の+電極が確実に接触するようにしました。電池ケースとポリバリコンは、基板に両面テープで取り付けていますが、強度は十分なようです。
 フイラメント用電池は、5678の定格は1.25V50mAですので、2本で100mA流れますが単三電池を使いました。単二を使いたいところですが、A電池とB電池を入れ間違い、一瞬にして5678のフイラメントを飛ばす恐れがありますので、単三を使うことにしました。単三に100mAは、結構な負担ですので、アルカリ電池など容量の大きい電池を使う必要がありそうです。

     
    5678と50Hのチョーク   9Vの電池と同じ大きさの22.5Vの電池  22.5Vの電池は、単二電池ケース
に3mm厚の紙で上げ底にします


 

   
          部品を蛇の目基板にならべました          蛇の目基板に錫メッキ線で配線しています



 蛇の目基板で配線していて、A電池の+の線だけどうしても錫メッキ線の配線がクロスするところが出来て、やむなく基板の表面にジャンパー線で逃げています。


3 おわりに

 期待した受信感度ですが、残念ながら本会頒布の2石ラジオキットKIT-13に負けています。B電池をもう少し高くすると感度が上がるのかもしれません。札幌では、ローカル局が十分な音量で聞こえていますが、地方ではアンテナが必要かもしれません。ショックを与えると電池管特有のキーンというハウリングが起こります。
 バーアンテナに数回のコイルを巻き、再生回路を付けると大幅に感度が上がると思います。是非実験されて下さい。また、せっかくサブミニチュア管を使ったのですから、超小型に組み立てられるのも良いかもしれません。

 少年のころに「初歩のラジオ」で読んだサブミニチュア管ラジオの完成に50年間抱き続けた夢が実現し満足しています。