3球再生式ラジオ(並四相当)製作記

原  恒 夫

1 最高の性能を求めて

  再生式ラジオに求められる性能には、
  ・スムーズな再生がかけられること、つまり操作性が良いこと
  ・検波出力が大きいこと、つまり高感度であること。
 が上げられます。

  これらの性能を満足させるため、本キットでは、
  ・カソードタップ式再生コイルを採用
  ・分巻き式のRFCの採用
  ・検波管のプレート負荷には200Hのチョークコイルを採用
 と贅沢な設計となっております。本機は、低周波2段の並四相当ですから音量も十分で約1Wを出すことが出来ます。

   回路図は、こちらです。

2 使用部品の紹介  
  使用真空管は、汎用性のある6BA6/5749、6AV6、6AK6という構成です。これらの球は、そのまま5球スーパーの製作に使い回せるというメリットがあります。
 メインのパーツを紹介します。

カソードタップ式並四コイル 分巻きの高周波チョーク2.5mH
     200Hのチョークを使用 左から6BA6/5749,6AV6,6AK6

 シャーシーは、穴あきで工具を持っていない方にも容易に製作が出来ます。

3 パーツの取り付けと配線
  パーツの取り付けは、配線を予測しながら進めます。この「予測する」は、とても大事な事です。実体配線図を頼りにパーツの取り付けをすすめますと、どうしてもこの「予測する」という大事な作業が抜けてしまいます。なぜこの真空管の取り付け方向はこうするのかということを考えないまま半田付け作業を進める結果になります。今、回路のどこを配線しているのかもわかわないま完成してしまうのでは、何台ラジオ作っても実力が上がらないことになります。配線図を見ながら、いくつかのパーツをどのように配置して半田付けをしていけばよいの考えることがラジオ作りの楽しさかもしれません。あなただけの個性ある配線をしていただくのが良いのではないでしょうか。その間にやはりこうしたほうが良いと思った場合は、完成を急がず組なおしてみてはいかがでしょうか。
 あまり良い参考にはならないかもしれませんが、部品の取り付け方向やアース線の引き回しなどご覧下さい。
 STDタイプは、OUTトランスをシャーシー上に取り付け、整流回路や平滑回路を余裕をもって配置出来るようにすることをおすすめいたします。

  大きい画像はこちらです。

4 調整と仕上げ
 
 ・再生コイル  再生のかかり具合をみてカソードタップの位置を調整します。調整のポイントは、50kΩのボリュームを回して再生がかかりはじめるところで6BA6のスクーリングリットG2の電圧を測ってみます。1V〜3V位で再生がかかりはじめるなら再生コイルの巻き数が多すぎますのでE端子から再生コイルをほどいてK−E間を2回巻程度にします。これでG2の電圧が10V〜15V位で再生がかかりはじめます。6BA6の場合最も検波出力の大きくなるのは、つまり感度の良くなるのはG2の電圧が20V前後です。この最高感度になるG2の電圧の電圧は、同じ6BA6でも微妙に違い、他の真空管では大きく異なることがありますので、再生をかけない状態、つまりカソードをコイルのほうにやらないで直接アースして放送を受信して、最も検波出力が大きくなるG2電圧を調べておく必要があります。
 コイルの巻き数を減らすと同調コイルの容量が減り多少バリコンの位置が変わりますので、バリコンのトリーマーの位置で調整します。
 ・受信帯域   バリコンにトリーマーが付いていますので、調整が可能です。正確に受信範囲を決める場合はテストオッシレターで540KHz〜1620KHzまでが受信出来るようトリーマーを調整します。実用的には、ローカルの低い周波数の局から高い周波数の局が受信出来るようにトリーマーで調整します。
 アンテナは、数メーターのビニール線などをつけると十分でしょう。最近は、鉄筋コンクリートのマンションや住宅が多くなってきました。このようなシールドの効いた建物では、室外のアンテナを張ることが絶対必要です。換気扇などからアンテナ線を引き込む必要があります。

 シャーシー裏は、半田や脂が飛んだりして付着していますので、堅めの筆などで丁寧に清掃をしておきましょう。抵抗やコンデンサーなどが近づき過ぎている場合は、適当な隙間が出来るよう動かします。

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