3球スーパーラジオキット(3S−STD)製作記

NPO法人ラジオ少年  原  恒 夫



1 はじめに

 標準型の5球スーパーは、中間周波トランスは2個使って、選択度を6kHz〜8kHz程度にしています。ここでは、中間周波トランスと1個使い2個目は非同調としてRFC高周波チョークを使ってみました。中間周波トランスを1個使用する場合は、周波数変換管(例えば6BE6)の負荷回路に中間周波トランスを入れ、すぐ検波する方式が一般的なようです。しかし、中間周波数を増幅しないで、すぐ検波したのではどうしてもゲイン不足で、再生式ラジオに感度の点では負けてしまいます。そこで、本キットでは、5球スーパーラジオに感度では遜色なくするために6BA6/5749で増幅し負荷をRFC(高周波チョーク)にすることにして、その後でダイオードで検波します。
こうすることで、選択度は、約9kHzと広くなりますが、感度は5球スーパーと変わらないことになります。帯域が9kHzと広くなることで、音質は高域まで出るようになり、AM放送でもHiFiを楽しむことが出来ます。

 「ラジオ少年」では、専用の中間周波トランス(IFT) RB−S を製作し、このキットに付属させています。

 さらに球数を減らすことにして、6BM8の小型版 3極・5極複合管 6AB8 を採用し、3球の構成で5球スーパー並の性能を発揮する3球スーパーラジオキット3S−STDを頒布することになりました。6AB8は、約1.4Wの出力を出せますから、ホームラジオ用としては満足出来ます。このように3S−STDは、スーパーヘテロダイン方式を学ぶ教材としては、十分な内容と性能を持った低価格なキットと言えます。

 
 新開発のシングルIFTと複合管6AB8

2 配 線 
  他の真空管ラジオキットと同じ手順です。シャーシーがやや小さく、パーツが混み合いますので、部品同士がぶつからないよう配線します。

 (1) 主要部品をシャーシーに取り付けます。ラグ板もCR類が混みあう場所に取り付けます。
 (2) アース母線をしっかり張り回します。
 (3) ヒーター配線をします。
 (4) 電源回路、あるいは、同調回路など好みに応じて配線をし、CR類を取り付けていきます。



3 調 整  

  各部の電圧を測定し、異常がないかを確かめましたら、テストオシレッターなどで455kHzを入れ、IFTを調整します。IFTの調整が終わりましたら、540kHz〜1600kHzをカバーするよう低い方はOSCコイルのコアで調整し、高い周波数は親子バリコンの子側(羽の少ない方)のトリーマーで調整します。バーアンテナのコイルは、低い周波数が良く入る位置に合わせます。親子バリコンの親側(羽の多い方)のトリーマーを回し高い周波数の弱い放送やノイズが良く入るように合わせます。


4 おわりに

  まず3球にも関わらず高感度なのには驚かれでしょう。これは5球スーパーと同じに、中間周波数を6BA6/5749で増幅しているからです。また、6BM8の小型版6AB8が2球分の低周波増幅をやってくれているためです。音質がとても良いことに気づかれると思います。理由は、IFTが1本で帯域が約9kHzと広いためです。帯域が少し広いからと言って、混信に悩まされるほどではありません。欲を言いますと、HiFi用のもっと大きい出力トランスを使いたいところですが頒布価格を抑えているためしかたの無いところです。
 スーパーヘテロダイン方式を学ぶ教材用として、また、ホームラジオとして十分楽しめるキットだと思います。

 なおバーアンテナからソレノイドコイル(S−300)に変更もできますが、アンテナターミナルは付けていませんので、ご自分で穴をあけターミナルをお付け下さい。