4球電池管ラジオ 4S−DC 製作記
原  恒 夫


1 はじめに
  筆者の年齢は60代で、ラジオ製作をはじめた小学生頃、にぎやかに電池管ラジオが「初歩のラジオ」などラジオ雑誌に紹介されていました。雑誌の後ろには、キットの広告が多数掲載されていました。しかし、電池管1本が約1000円で、とても高価でした。その高価な電池管を4本も使う電池管ラジオキットは、父親の月給よりも高かったのです。当然小学生の私の小遣いの範疇ではありませんでした。そんなわけで、ラジオ雑誌の記事をうらやましく眺めるだけでした。しかし、最近、やっと50年以上もあこがれていた電池管ラジオを製作することが出来ました。お小遣いの乏しい青少年のことを考え、先輩の皆さんのアイデアなどを生かし、なるべく安く作ることを目標にしました。

2 回路と部品の決定
  電池管ラジオは、最初からスーパーヘテロダイン方式で高感度で実用的、そして、安いことを目標としました。電池管は、アメリカで結構安くく5〜7ドルくらい)集められます。なるべく「ラジオ少年」で頒布しているパーツを組み合わせました。IFTを「ラジオ少年」頒布のRB−2を使うとどうしても1万円を超えてしまうことがわかりました。やむなくIFTは、トランジスター用のIFTを使うこととしました。選択度を良くするには、IFTは、複同調として2個一組で使うべきなのですが、実験の結果、単同調してもローカル局が混信することはなかったので、簡単にすませることにしました。簡単と言ってもアンテナコイルで1回、IFTで2回の同調回路と合計3回の同調回路を通過させますので、並四ラジオなどとは比べられない選択度を得られます。局部発振コイルは、NO88のコイルが定番ですが、これも価格を抑えるためにTR用のOSCコイルを220μHにして使っています。但し、アルミシャーシーにこれらのTR用OSCコイルやIFTを並べにくいので、この部分をプリント基板を使い、再現性を良くしてあります。
 アルミシャーシーは、1ミリのアルミ板で業者さんに作ってもらいました。試作機で2枚シャーシーを作ってみましたが、1mm厚のアルミ板がとても丈夫で、曲げなどの加工が難しいことがわかりました。当初、シャーシーにボリュウームやスピーカーも付けようか思いましたが、製作される方の自由度が下がるので、やめました。
 バリコンは、「ラジオ少年」の親子バリコンですが、シャーシーに横向きと前向きに取り付けることが出来るように止め穴をあけてあります。
 電池は、単一電池が1個、高圧電源は、9Vの乾電池を7個〜8個直列につないで使っています。いずれも100円ショップからの購入ですが、意外に長持ちです。(9Vの電池は2個で105円を使用) 迷ったのが、出力管の3S4のバイアス電源を固定バイアスにするか、高圧電源を流用してバイアス電源を得るかということでした。高圧電源を流用すると、真空管にかかる電圧がバイアス電圧分下がってしますのも残念なことです。結局万一電池切れでバイアス電源がかからなくなった時に3S4に大きな電流が流れ、3S4を傷めることを考え、高圧電源を流用することにしました。
 双極のスイッチ付きボリュウームが見つからず、A電池だけを切っています。B電池も切りたいところですが、出来ません。しかし、最近のコンデンサーは、漏れ電流も少なく、フイラメントがつかない状態では、B電池からの電流は殆ど流れません。しかし、漏れ電流は0ではありませんので長く聞かないときはB電池の片側のスナップをはずしておきましょう。
 抵抗は、1/4Wのカーボン抵抗を使用しました。とても小さくて配線の際に助かりました。コンデンサーは、「ラジオ少年」の在庫品を使いましたが、耐圧100V程度でもっと小型のものがあります。
 出力トランスは、タイのTORON社に特注で10kΩ:8Ωの小型のものを作ってもらいました。

  左OSCコイル 中IFT−A 右IFT−B     簡単なプリント基板をつくりました

3 製  作
  製作は、シャーシーに部品の取り付けから始めます。一番最初にOSCコイル、IFT−A,IFT−Bを半田付けしたプリント基板を取り付けます。真空管ソケットは、向きにご注意下さい。特にキットには、IS5の入ったキットとIU5が入ったキットがあり、ピン配列から入力−→出力を良く考えて取り付けます。バリコンやバーアンテナは、「ラジオ少年」のおなじみのものです。

現在ウエハーソケットが入手出来ず
モールドタイプを使用しています。
シャシーのサイズは50mm×170mm
×10mmです

 配線は、スズメッキ線でアース母船を張っています。3Pのラグ板を4個使い配線をしやすくしていますが、ラグ板の位置は製作者がお考えの上、決めて下さい。 

                 アース母船をはりました

 

 配線は、真空管のフイラメントから始めます。片側(7番ピン)はアースで共用しています。3S4は、並列接続で1.5Vに対応します。

 部品が小さく、配線にはピンセットが必要です
 このユニットを好みのケースに納めて下さい。
親子バリコンは、前向きにも取り付けることが出来ます。

 
 回路は、非常にシンプルでCR類も少ないので短時間で完成します。しかし、部品が小さいので配線にはピンセットが必需工具となります。
 B電源回路のショートが無いか確認し、真空管をさしケースにいれない状態でテストをします。 調整は、テストオシレッターで455Khzを入れてIFTを合わせます。後はトラキング調整をして、最高感度に調整します。

プラスチックケースに納めてめてみました。もっと小型のケースに入れられそ

4 終わりに
 この電池管ラジオを完成させ、筆者は50年以上の夢を実現出来ました。定格出力は200mW程度ですが、結構な音量です。感度は、標準の5球スーパーと遜色がなく、室内でもローカルの放送はもとより、夜間には全国の放送も聞こえます。スピーカーをもう少し大きいものにすると、良い音質が期待出来ます。また、バーニアダイヤルにしますと選局の操作がしやすくなります。
 本キットには未加工のプラスチックケースを付属しています。付属のケースを加工されても結構ですし、付属のケースを使わないで100円ショップなどで、もっと小型のもの、お好みのものなどを求め、組み込まれてはいかがでしょうか。(2010年1月1日完成)


 参考 現在ウエハーソケットが入手出来ず、モールドタイプを使用しています。