簡単6石ラジオキット(6TR−STD)製作記
ラジオ少年 原 恒夫
はじめに
この6石ラジオキットは、スーパーヘテロダイン方式を採用し、高感度、安定した受信が出来ます。特に検波をダイオードではなくトランジスターを使用していることから高感度が期待出来ます。中間周波増幅は1段にしたためやや帯域は広いのですが、放送を受信するには十分な選択度を得ています。また中間周波増幅を1段にしたために発振に悩まされることがなく安定した受信が出来るのが特徴となっております。
製作の手順
1 主要部品の取り付け
OSCコイル(T2 コア赤色)、IFT(T 3 コア白色)、IFT(T4 コア緑黒)、ボリューム、イヤホンジャック、ポリバリコンをプリント基板に差し込みます。そして、各パーツをハンダ付けします。IFTのケースのハンダ付けもして下さい。
ポリバリコンの取り付けは、先に黒いホルダーをはさみネ ジ止めします。
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主要部品の取り付け ポリバリコンの取り付け前にバーアンテ ナのホルダイーをはさみます |
バーアンテナは、このように固定されます | 入力トランスは、・印を合わせて差し込みま す |
2 抵抗、コンデンサーを差し込んでハンダ付け
電解コンデンサーは、極性に注意しま しょう。
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抵抗は、台紙に抵抗値を書いてあるのでわかりや すいです。 |
3 LEDの取り付け
電源を入れた時にLEDがつきます。LEDは、プリント板に付けますが、ケースに基板を取り付けた時にケースのぶつからない長さにLEDの足を切ります。LEDの極性にも 注意します。(後で電源を入れてもLEDが点灯しない場合は、極性が間違っていますので正しく付け直します)
4 トランジスターの取り付け
トランジスターにハンダごての熱を伝えないようにするため足はなるべく長くします。しかし、長すぎるとケースにぶつかりますからIFTケー スの高さに合わせます。
5 スピーカーの線(黄色の線)、電池の線を付けます(+は赤線、−は黒線)
電池ケースは、ケースに金具を取り付けます。電池の金具の上の方を少し内側に曲げておくと電池が飛び出しません。単三電池2本は、完成してから入れます。
6 部品の足切り
部品を全部ハンダ付けをして抵抗やコンデンサー等のあまった線は切り取ります。
7 バーアンテナのコイルの線
aが無着色、bが黒、cが赤、dが緑です。線は5cmくらいに短く切り、穴を通さず直接プリント面にハンダ付けして下さい。
8 電流測定ポイントのブリッジ ABCDはプリントパターンに細くすきまがありますので、ハンダを流しでブリッジ(つなぐ)しておきます。
9 点 検
部品を全部プリント基板にハンダ付けしたら、プリントパーターンにブリッジ(パ ターン同士がハンダでついてしまう)やイモハンダ(ハンダがしっかりついていない) がないか調べます。
10 スピーカーの取り付け
ふちをボンドなどの接着剤をぬりケースの固定します。プリント基板 から出ている黄色の線をスピーカーの端子にハンダ付けします。
11 つまみの取り付け
ポリバリコンにダイヤルつまみ、ボリュウームにつまみを取り付けます。
12 基板の取り付け
プリント基板をケースに取り付けます。
13 電池の取り付け 電池は、極性に注意して取り付けます。(スプリングの方がマイナス)
14 電源スイッチをON
スイッチを入れるとわずかにサーというノイズが出ます。
15 調 整
ダイヤルを回すと放送が聞こえてきます。ダイヤルを高い周波数に回しきってノイ ズが最大になるようポリバリコンの左(アンテナコイル側)のトリーマーを回します。 1500kHzのような高い周波数の放送がある地域で聞こえないときは、ポリバリ コンの右(局部発振側)のトリーマーを回して聞こえるように調整します。
16 ご注意 テストオシレッターのような測定器がない場合は、IFTのコアを回さないで下さい。出荷時に455kHzに合わせてあります。
おわりに
部品が少なくシンプルな回路構成ですが、なかなかの感度です。高周波段の発振もなく安定しています。OTL(OUTプットトランスレス)なので、イヤホンジャックに大きなスピーカーをつなぐと良い音が出ています。 このキットは、小学校高学年以上を対象にした製作会に良いでしょう。感度が良いので放送局から離れた地域でも十分実用になります。
ただ、スーパーヘテロダイン方式の説明は、あまり深くすると、「ラジオは難しい」と思われてしまうかも知れません。「スーパーヘテロダイン方式は、電波を足したり引いたりして、新しい電波に取り替えてから検波します。」位の説明になるのでしょうか。