AMP−2製作記
原   恒 夫


1 はじめに 
 AMP−1の好評に気を良くして、もうすこしグレードの高いアンプの開発に取り組みました。AMP−1は、広いシャーシースペースを確保し、初めてアンプを製作される方に優しい設計としました。しかし、アルミのシャーシーでは、インテリアとして見栄えがしません。
 そこで、AMP2では、外観を気にしながらの設計となりました。出力も3W+3Wから一回り大きく、しかし頒布価格は抑えたいという欲張り設計となりました。
コストダウンの一つとして、出力管を中国球をさがしていましたところ、現在も中国では多くの真空管が生産されていることがわかりました。選んだのが6P14で、この球は6BQ5と互換性があり、予算を出せる方には6BQ5を選んでいただくこととしました。出力も家庭用としては、3〜4Wあれば良いので3結で使うことにしました。
 初段管は、12AX7を考えていましたが、人気の球で1本1000円以下では買えないようです。そんな時に目をつけたのが、中国管で双三極管の6N2です。この球はには、双三極管の間にシールド板が入っていて、(9番ピン)これをアースしておきます。
 しかし、6P14(6BQ5)では、高感度で3極管2段も増幅すると利得が多すぎますので、6N2の1/2は、カソード出力として、利得調整をしています。

2 配線は、立体配線で
 どうしてもプリント配線に抵抗(?)のある筆者としては、手配線を決めました。但し、デザインを重視して、シャーシーを小型にしたため、立体配線となってしましました。基本は、アース母船をしっかり張り回し、ラグ板を使わなくともCR類が固定されるよう配線に工夫が必要です。


3 使用パーツの紹介
 価格を抑えるために特注トランスを使用しました。AM-2で使用のトランスは、トランスコーナーで「RADIO BOY」 オリジナルブランドして、頒布を開始しました。好みのシャーシーでの自作も可能にしています。

左 電源トランス 特注の250V×1をブリッジ整流
右 アウトプットトランス 特注の最大7Wのトランス
   真空管は、6N2(左)と6P14(右)を使用    

4 製作の実際

 小型のシャーシーを採用したため、サブシャーシー方式を採用しました。配線図をじっくりご覧いただき配線下さい。立体配線になるため写真だけを見ての製作は困難です。製作例はあくまでも筆者の例としてご覧いただき、お求めの方の個性豊かな製作をお願いします。

 サブシャーシーにアース母線を張ります  左チャンネルから配線開始、一番面積を取る電解
も取り付けしましました。
 アース母線の追加、先につけてしまった方が良い
CR類を付けて行きます。
 上からみたサブシャーシーです。
 右チャンネルも配線しました。CRが重なっています
ので、ショートしないよう2mm以上は離します。
 初段管側から写しました。
 ダイオード(ブリッジ整流)も取り付けます。 ケースが狭いためボリュームも配線してしまいます
シャーシーに入力端子、スピーカー端子、電源端子
スイッチを付けた後にサブシャーシーとトランスを取
り付けます。トランスからの線は、間違わないよう束
ねておきます。
トランスの端子を配線し、電源スイッチなどへの配線
をします。

背面の端子です。
動作がOKなので、底面パネルを取り付けます。


5 試聴

フロントビューもなかなか  真空管フードを付けて

 では、再度誤配線がないか確かめ、電源スイッチを入れます。ボリュームを上げてみても殆どハムは感じませんね。CDプレーヤーで視聴してみます。
 低域も、高域も結構伸びています。小型のアウトプットトランスとは思えない重量感のある音が出ています。6P14と6BQ5を差し替えてみましよう。殆ど音の違いは私の耳では感じられません。
 小さな黒いシャーシーは、家具とも調和してなかなか良いムードです。きっと家族の皆さんからも受け入れられることと思います。
 スクーリングリッドの抵抗1KΩくらいに大きくして+Bにつないで3結から5極管として働かせると出力は大きくなりますが、3極管の魅力的な音は失われます。 
 なお、小さなお子さんがおられる場合は、必ず真空管フードをつけてやけどの防止する必要があります。