アナログテスターキット製作記

NPO法人ラジオ少年  原  恒 夫


1 はじめに  
 「NPO法人ラジオ少年」頒布のデジタルテスターキットは、多くの高校や高専、大学で採用いただいております。しかし、すべての機能を1チップICで動作させているため、仕組みがわかりにくいとう短所があります。ここで製作するアナログテスターは、オームの法則さえ知っていれば、その動作を容易に理解出来ることが出来ます。ただし大型メーターを採用していることからコスト的には、デジタルテスターに比べ少々高くなります。と言ってもここで製作する中国製のキットは、学校教材として扱える低価格となっております。9Vと単2の電池は付属しておりませんので、別に用意下さい。
 細かな製作マニアルが付いていませんので、先生方は、このマニアルをダウンロード下さい。中国語ですが、回路や図で指導に十分役立つと思います。

2 回路と製作
 やはり部品の点検から始めて下さい。回路図とプリント基板には圧電ブザーが付くことになっていますが、オプションのようでキットには付属していません。そのほかプリント基板上でダイオードD5,D6、コンデンサーC2がありますが、これもつけません。
 抵抗やコンデンサーは、R1〜R28まで、カラーコードやテスターで抵抗値を確認しながら、紙の台紙に貼り付け整理しておくほうが良いでしょう。ハンダづけした後に間違いを発見して、さしかえると基板のパターンをいためてしまします。
 プリント基板のパターンをそのままロータリースイッチの接点として使いますので、円上に配置されたパターンには、絶対ハンダがつかないように注意が必要です。万一ハンダがついてしまったら、ていねいに取りの除く必要があります。
 また、プリント基板は、ケース本体にセットする際、ていねいにセットしないとプリント基板に細い亀裂が入ることがあります。これは、基板だけでなくプリントパターンにも亀裂が入り、断線状態になってしまいます。プリント基板に亀裂が入った場合は、パターンにも亀裂が入っていないかテスターで導通を確かめて下さい。万一パターンに亀裂が入り導通がなくなった場合は、ていねいにパターンとパターンの切れ目の塗料をはがし、ハンダでブリッジして補修をしておきます。 

 製作手順として、

 まず下準備として、プリント基板のロータリースイッチ部分にハンダや、ハンダのフラックスなどが付かないようにマスキングをしまします。



写真提供 岩渕美智男様



1 プリント基板面にボリュームや端子類をハンダ付けします。
2 シルク印刷面にヒューズホルダー、半固定ボリューム(WH2)を取り付けます。
3 抵抗をR-1〜R28まで取り付けます。R-28は、長さ5cmほどの線状の分流抵抗です。
4 ダイオードとコンデンサーを取り付けます。ダイオードとコンデンサーは、極性に注意します。部品を全部半田付け完了しましたら、ミスがないかチェックします。
  間違いがなければ、ロータリースイッチ部分のプリント面にハンダくずや汚れ、指紋などついていないように柔らかい布でていねいに拭きます。
5 メーターへの線、電池への線を配線します。
6 テスター本体(メーターの付いている方)のロータリースイッチの接点バネをはめこみます。
7 プリント基板をケース本体にセットします。下に二ヶ所。上に一ヶ所の爪があります。上から先、下から先ではなくなるべく上下平行に押し込みます。
8 動作確認 電池の電圧、100VACライン、抵抗レンジにして赤と白のテスター棒をショートさせ針を右端に振らせ、ゼロ調整ボリュームで0オームになるかなど、動作 確認をしましよう。動作しないようでしたら、プリント基板につりつけたCRの値やダイオードの極性など間違いがないか再点検し、まちがいを見つけます。


 
 抵抗とコンデンサー、ダイオードを台紙に整理しました。台紙は付属
 
      プリント基板面にボリュームや端子を取り付けます。
 
      プリント基板にCR、ダイオードなどを取り付けます
 
        ロータリースイッチの接点バネをはめ込みます

3 おわりに
  正確なテスターで、手持ちの電池などの電圧を確認します。そして、組み立てたテスターの適当な直流電圧レンジに合わせます。メータの電圧を確認します。基板上の半固定ボリュウームWH2を回して、正確なテスターで測定した電圧を示位置までメターの針が来るようにします。これで校正は終了です。
 一応測定範囲は、標準的なテスターですので、製作後には学生さんの実習の際に使用するなど有効利用が出来ます。