IC−AMP−1 製作記
ラジオ少年 原 恒 夫
1 はじめに
真空管ラジオ、真空管アンプ作りを楽しんできた筆者ですが、最近のICを使った機器の製作もやってみたいものとICアンプに挑戦しました。ここでは、プリント基板と部品を1セットにしたキットを使用し、電源トランスとケースはラジオ少年が特注したものです。
2 基板キットを組み立てる
この基板キットは、ICはじめダイオード、CR類が一式まとめられいます。ICは、TDA2030AというHiFi用で負荷が4Ωで出力15W、8Ωで10W出る、ゲインも高く前段増幅部を付けなくともCDの入力でフルパワーを出せるものです。ケースは、放熱器をかねているためアルミ製のものを使っています。
早速パーツを確認し基板に差し込みます。一度半田付けをしてミス装着を発見した場合、部品の交換はとても手間がかかります。そのため、部品を全部差し込んで、全部の部品が正しく装着したか慎重に確認する必要があります。電解コンデンサー、ダイオードは、極性を確認します。このキットでは2.2μFと22μFのコンデンサーを使っていますが、大きさが同じなので外見で区別できませんから、これも良く確認します。ICは、最後に取り付けます。足が5本ですから取り付けまちがいの心配はありません。ICは、このままアルミケースに絶縁シートをはさみ取り付けますので、プリント基板に対して直角になるように半田づけします。
![]() |
![]() |
IC−AMP−1のキット一式です | プリント基板とパーツ |
基板上のパーツの確認がすみましたら丁寧に半田付けします。部品の取り付け、確認、半田づけの作業は、ほんの10分ほどで終わってしまします。この小さなICから15W×2の出力が出るとは信じられないほどですが、これが電子産業の進歩なのでしょう。12V交流電源の端子、入力端子、スピーカー端子も付属していますので、これも取り付けて半田づけします。
プリント基板のアンプ本体が完成しましたらケースに組み込みます。前面パネルに電源スイッチをつけます(ボリュームは、シールド線を配線してから取り付けます)。背面のパネルには、電源コードのホルダー、ヒュースホルダー、スピーカー端子、入力端子を取り付けます。これらの準備が出来たら取り付けボルトを六角レンチで軽くしめ取り付けます。
この状態で、プリント基板を固定する位置を確認します。プリント基板を固定する位置からボリュームへの配線の距離、入力端子への距離、スピーカー端子への距離などを測り、少し余裕をもってシールド線などの長さを決めます。ボリュウムのシールド線の配線は、基板側がとても小さいので、慎重に半田づけする必要があります。筆者は、ボリュームのシールド線をプリント基板の裏から配線しましたが、これは邪道かもしれません。基板に入力回路のシールド線、スピーカーへの線を取り付け、トランスからのAC12Vの線などを取り付けてから、ICを基板にビスで取り付けます。ICは、絶縁のための白いプラスチックワッシヤー、そして、ケース側には、絶縁シート(シートの両面には、熱伝導の良いシリコンを塗ると良い)を間に入れてビス留めします。ICをビス留めしますと、特に固定しなくとも動かなくなりますが、最終的には、プリント基板の左右の穴をプラスチックバンドでケースの穴を通して固定します。
ネオン付き電源スイッチは、100Vが直接配線されますので、注意が必要です。スイッチの上の端子が、ネオン管へ100Vを与える端子、真ん中の端子と下の端子がスイッチになっています。
![]() |
![]() |
シャーシーの中全体です | スイッチの配線にご注意下さい |
全ての配線が終了しましたら電源をいれてみます。DC電圧を測ってみると±15V程度あれば良いです。
3 試 聴
早速CDプレーヤーをつないで試聴してみます。筆者のスピーカーは8Ωですので、10W×2=20W出ることになります。さすがに半導体、スイッチを入れるとすぐの音が出て来ました。迫力は確かにあります。ボリュームを最大にあげることなど出来ない大音量です。音質は、堅いという感じはしませんが、低域から高域までフラットな素直な音と言えます。わずか2個のキャラメルほどの大きさのICからこんなすごいパワーの音が出て来たのには、筆者もすっかり驚いてしまいました。