回路のわかる2石高感度TRラジオの製作
原 恒 夫
1 はじめに
ラジオ製作を指導されている方々は、「青少年にどうしたら回路を理解させながら製作させるか」という大きな課題を解決出来ないでいませんか? 普通のプリント基板では、部品を差し込んで半田付けすれば、完成してしまいます。組み立てている青少年には、今自分が回路のどこを半田付けしていることがわからないままの完成です。プラモデルのように回路もよくわからないまま完成てしまうラジオ製作では、青少年にはほとんど勉強になりません。
そうかと言って、回路図を見せながらラグ板に配線させると予想以上に時間がかかり、決められた製作会の時間では完成することが出来なこともあります。
そこで、本会では、プリント基板を使いながらも、青少年が回路を直視でき、「自分は今この部品をつけているんだ!」ということがよくわかる工夫をしました。プリント面にスクーリン印刷をして、プリント面に部品を半田付けする方式を開発しました。(特許申請中)プリントのパターンは大きく幅広で、半田ブリッジなどもほとんどなくなりました。
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プリント面に部品のシルク印刷 | 回路がわかり部品もつけやすい |
2 回路と部品
回路は、1石目で検波、そして、直結の2石目で低周波増幅して、チョーク負荷としてクリスタルイヤホンを鳴らしています。70mmの長さの本格的なバーアンテナを使用し、そして、チョーク負荷としているため、2石とは信じられない高感度をになっています。
プリント基板はじめ、全てのパーツは板の上につけられていますので、全体が見えるようになっています。
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70mmのバーアンテナ チョーク | TRとCRはたったこれだけ |
3 製 作
製作は、部品がわかりやすいシルク印刷してありますのでとても簡単です。部品点数も抵抗2個、コンデンサー2個とても少ないので時間もかかりません。プリント板に部品を全部半田付けしたら、木の板にプリント基板を木ねじで取り付けます。バリコン取り付け金具、バーアンテナ基台、電池ケースをとりつけ、それぞれプリント基板に配線します。
4 おわりに
バーアンテナのお陰で、きわめて高感度です。クリスタルイヤホンからは驚くほどの大きな音が出てきます。強電界地域では、ひずむことがありますが、バーアンテナの方向を変え音が小さくなり歪まない方向に合わせます。電源スイッチがついていませんので、聞かない時は電池を1本抜いておきましょう。
このキットは、青少年のラジオ製作の入門用としておすすめ出来ます。指導者の方は、回路図の見方を丁寧にご指導いただければ幸いです。