私の実験室
ちょっとしたアイデアでラジオやアンプ製作を楽しくしませんか
皆様の投稿をお待ちします
先輩の皆様の工夫を紹介いただいても結構です
宛先 info@radioboy.org  又はお手紙やFAXでどうぞ



局型トランス・レス球を使用した5球スーパーの製作   高橋 廣光

 

かつて日本に、放送局型123号というトランスレス・ラジオがありました。高周波増幅付きのストレート型ラジオで、ヒーター電流150Aの日本固有のST管が4本使われていました。このラジオに使われていた球は、当時多量に作られたらしく、今でも中古市場で入手が可能なようです。そこで、この局型ラジオに使われていた球だけを使って5球スーパーを作ってみました。

製作した5球スーパーは、周波数変換が12-R1、中間周波数増幅が12-V1、検波・低周波増幅が12-R1、電力増幅が12-P1、そして整流は24-K2です。整流管を除けば、すべて5極管しかないので、スーパーを組むには工夫が必要でした。2極管検波・低周波増幅も、変則的ですが5極管を使いました。トランス・レス球を使っていますが、感電が怖いので、電源には、30VAの絶縁トランスを入れています。

   



「1球再生式ラジオキット1RW-DX」をタワー型に     犬塚 守光 (JA0ELA 2023年3月19日

RW-DXのキットを組立て、手のひらサイズのラジオから流れる音を楽しんでいました。

ある日このラジオを見ながらふと思ったのは、ラジオや送信機、受信機を製作する場合、なぜシャーシーを使うのかと言う疑問です。 シャーシーを使わないで組み立てる事は出来ないか考えてみました。各回路をユニット化し、積み上げたらどうなるか。
タワー型ラジオを思い付き挑戦して見ました。


タワー型にするには、ベース(下段)となる部分に重さを持たせ安定させる必要があり、電源トランスのみBT-2H-DXに変更しました。

このトランスは200V出力なので、平滑回路の抵抗は1Kから4.7Kに変更しています。(B電圧を180Vにする)

シャーシーでは平面的な組立てになりますが、タワー型は立体的になります。回路を4ブロックに分け、プリント基板、アルミ板を使い積み上げました。

 
 完成したラジオ


「2球ワイアレスマイク」の製作

                                  犬塚 守光 (JA0ELA

「初めに

ある日、中学の同級生に遊びに来ないかと誘われた。訪ねるとラジオのスイッチを入れ、その前に立たされた。彼は隣の部屋へ行ったが、しばらくするとラジオから突然彼の声が聞えた。 


 何、何? 想像できない出来事に驚くばかり。かれの所に行くと2球ワイアレスマイクがあった。マイクは小さなクリスタルイヤホン、アンテナは針金を部屋に張っていた。この驚きが今も続く無線の世界への入口となる。

 その後、本「ワイアレスマイクとトランシーバー」を買って勉強し、2球ワイアレスマイクを完成させた。

 50mほど離れた所に材木店の加工場があり毎日ラジオが鳴っている。いたずらしようと周波数を合わせ、ビート音を楽しんだ。

 もっと遠くに、もっと強い電波を…。そんな思いが無線の世界へと大きく進ませる。


「製 作」

・OSCコイルは、ハニカム巻を探しましたが入手できず、ラジオ少年の4球スーパー4S-STDで使用されているトロイダルコア仕様のデータで作りました。

・マイクの外見は懐かしいクリスタルマイクの様にみえますが、セラミック仕様のようです。

・ダイナミックマイクが使えるようにプリアンプを組み込んでいます。

・変調波形は、きれいなサイン波とは言えないようです。


   
   



再生付2極管検波ストレートラジオ        高橋 廣光 2022/07/05

 真空管式の再生付きストレートラジオといえば、検波方式として、グリッド検波かプレート検波を思い浮かべるところですが、今回は2極管検波による再生付きのストレートラジオを製作してみましたので、ご紹介させていただきます。
回路構成は初段が再生付2極管検波。その後、低周波増幅2段となります。いわば0-V-2です。真空管は検波に76,低周波増幅に6C6と6Z-P1を使いました。整流回路は12Fです。

 検波回路は一見、グリッド検波回路に似ていますが、グリッド検波では検波信号をプレート側より取り出すのに対し、2極管検波ではグリッド側より取り出しています。2極管検波では、基本的に利得はありませんから、低周波増幅を2段にしています。

 再生の調節は、検波回路へ供給する電圧を可変する方法にしました。検波管において、プレート電流を流すと、グリッド、カソード間での検波感度が低下してしまいます。そこで、再生を掛けないときには、検波回路へ供給する電圧を0Vにして、プレート電流を流さないようにしています。

 同調回路のバリコンは、単バリコンでよいのですが、手持ちの関係で2連バリコンの片側だけ使っています。低周波増幅初段の6C6は利得が高く、ノイズを拾いやすいので、シールドケースをかぶせ、33pFからグリッドまではシールド線を使っています。

 再生付グリッド検波ラジオも楽しいですが、再生付2極管検波ラジオも面白いです。


回路図





5球スーパーラジオキット 5S-STD + 高1 改造記

2022年4月9

畑 清三

 

動機: BGM用として5S-STDを暫く使っていると、AFNや文化放送は今一感度不足でノイズが多い。

ケースとして木箱は用意したが入れる前に感度が何とかならないかと考えました。

そこでRF増幅を追加、いわゆる 高1スーパーに挑戦する事としました。ついでにマジックアイも追加します。

 

概要:先ず、追加、変更部分の回路図製作に始まり、電源トランス容量の確認、3連バリコン等追加部品の

入手、シャーシ加工、組み立て、配線までは比較的スムーズに進みました。

最も苦労したのは発振対策です。既存の参考回路のままではだめで発振対策を強化しています。

部品配置や実態配線が大きく影響していると思います。後進の方にどれだけ参考になるかは不明ですが、

その点も少し記したいと思います。

最終的に発振は収まり、感度もバッチリ、バリコンのダイヤルを回すのが楽しくなるほどスパッと選局できます。

鉄筋の建物の中でも夜になると国内の遠方や海外の放送局まで受信できます。

 

1,       回路図

ダイアグラム, 概略図

自動的に生成された説明

回路図1、5S-STD + 高周波増幅1段

 

 基本は 「ナショナル BL-620」 の回路を参考に5S-STDの前段に6BA6によるRF増幅を加えた形です。

マジックアイはMT管の 6R-E13 を使いました。バリコンは中古の3連に載せ替え、段間コイルはラジオ少年の

RF-205OSCコイルはOSC-115です。


 

2,       電源容量確認(電源トランスを載せ替えなくて良いか?)

 

                   表1、ヒーター、B+電源容量確認

         

           上の表の様に、ヒーターは2Aに対してOK。 B電源は若干厳しいかもですが、発熱具合は

          1時間以上通電しても暫く触っていられる程度ですのでOKとしました。

 

3,       追加、変更部品

 

表2、追加、変更部品一覧。

 

4,       シャーシの追加加工

機械の部品

低い精度で自動的に生成された説明

写真―1、軽量部品取付け後

 

                    一旦、真空管、バリコン、バーアンテナ等、壊れやすい物を外し、取付穴位置を決めます。

                   加工にはセンターポンチ、ドリル、シャーシパンチ等が必要です。

 

5,       回路調整説明

5-1、発振対策

                       当初、一部の放送局は受信できるものの、「ピー、ボボボ」 と高周波発振とモーターボーティングを

                      同時に起こしていました。これは酷い・・・。特に周波数の下半の領域です。

                    対策―1、回路を見ると明らかに電源のデカプリングが不足では?と思われます。

                             モーターボーティングの原因と思われ、RF初段g2B+のデカプリングを強化。

                             同時にBL-620に習い、IF段のAGCを外しました。 これで若干改善するもまだ酷い発振。

                   対策―2、回路図と実物を見比べ、にらめっこしながらバリコンへの配線を入れ替えたり、バーアンテナの

                             角度を変えてみたりの試行錯誤を計2日。

どうやら、バーアンテナのタンク回路と段間コイルのタンク回路で電磁結合している様子。

(入出力にタンク回路があるにもかかわらずさしたるシールドもしていないのだから

当然といえば当然です。)

そこで段間コイルの2次側の極性を入れ替えてみました。これが効果絶大。 NHK第一に

同調する付近で若干発振が残ります。

この時点で段間コイルの取付角度を間違ったかな?と反省しました。バーアンテナと90度の

角度で取り付けるのが正解かと思います。 

                   対策―3、オリジナルがそうなのですが、RF段、IF段とも6BA6のカソードパスコンの容量が無駄に

                             大きいので 0.1μF0.01μFに変更、これで発振は完全に収まりました。

 

          5-2、トラッキング調整

                     ラジオ少年の発振コイルOSC-115 には 430pFの固定コンデンサが付属しているのですが

                   今回そのままではトラッキングが上手く行きませんでした。

                   そこで、予ねて用意していたパッディングコンデンサを使っています。

結果460pF付近でトラッキングOKとなりました。 尚、これは3連バリコンの取付角度により

配線が長くなってしまった事が影響しているかも知れません。


 

5-3、バーアンテナのインダクタンス調整

           バリコンが420pF(+10pF)の物にしましたのでオリジナルのバーアンテナはインダクタンスが過大です。

          215μHをターゲットに3ターン巻き戻しました。

 

6,       内部配線

回路, エンジン が含まれている画像

自動的に生成された説明

写真―2、内部部品配置、配線

           元々余裕があったので、部品配置、配線ともさほど苦労はありません。

          尚、発振対策で記した様に、段間コイルの取付は90°変更した方が良いかと思います。

 

7、  完成写真

屋内, 電子機器, テーブル, 流し が含まれている画像

自動的に生成された説明

写真―3、全景

 

           RF段、マジックアイとも窮屈さも無く、丁度良い感じに収まりました。

          バリコンの取付角度は回転軸に対し、180°間違ったと思います。配線が長くなってしまいました。

 

8,       改造後記

部品取付角度を2か所ほど直した方が良い状態ですが、感度も選択度も十分、一旦完成としました。

DMM(テスター)一台のみで満足な測定器も無くここまで来ました。

本来、信号発生器や、バルボル等を揃えてから行うべきかと思っておりますが、試用した感じは十分満足の

行くものとなっております。市販の高感度を謳うDSPラジオと同等以上の感度です。

振り返るにベースとなったキット5S-STDは元々高1を加える事を想定していたのではと思えるスペースと

電源容量を持っています。

鉄筋コンクリートのマンションに住んで居られる方も多いと思いますが、高1を加える事で十分な感度が

得られます。5S-STDをお持ちの方はトライする事をお勧めします。



 4球スーパーラジオを製作       高橋 廣光

 



私はST管が好きなので、ST管を使った再生付き4球スーパーラジオを製作してみましたので、ご紹介させていただきます。中波用です。真空管の構成は、周波数変換が6W-C5、再生検波・低周波増幅が6F7、電力増幅が6Z-P1、整流が12Fです。

 

再生付き4球スーパーラジオについてはご存じの方もおられるとおもいますが、高一ラジオの高周波増幅部を周波数変換部に置き換えたような回路のものが一般的です。従って検波部は、グリッド検波が大半ですが、ここでは、ちょっとした遊び心で、2極管検波としてみました。

 

検波部に使用した真空管は6F7で、3極管と5極管の複合管です。3極管部で2極管検波と再生を行い、5局管部で低周波増幅を行っています。IFTはタマディン(永井製作所)の再生コイル付きの珍しいものですが、たまたま入手できたので使っています。回路図は参考程度にお考え下さい。

 

製作したラジオは、2m程度のビニール線をアンテナ端子に接続すると、電波の強い地元の放送は、再生なしで受信できました。電波が弱い放送の受信に際しては再生もききます。夜間に再生を掛けると、遠方の局も聞こえてくるようです。

高性能なものが簡単に手に入る時代ですが、自作することは、性能はどうあれ楽しいものだと感じています。

 








抵抗・インダクタ・キャパシタ測定用ACブリッジの製作

山田 泉

2021.04.27/2022.01.16

1.はじめに

 フェライトや空芯タイプのインダクタは表示が消えかけ,分かりにくいものがある。その測定器も

持っていない。そこで抵抗とキャパシタとで3種類が測定できる計測器を製作することにした。

 

2.主な構想

 ツェナーダイオードチェッカーに使用した摂津金属工業のアルミケースCA-70W150×150×70

mm)が小型で品位も測定器に相応しいだけでなく,価格も手頃(¥1,190-)である。

・できるだけ手持ちの部材を使用する。

  RはもとよりLCも測定できる優れたマルチメータが安価で販売されている(¥5,000-以下)。

高額な材料費になっては意味もないので,VVFケーブル残材(裸銅線)なども用いる。

・ブリッジの平衡状態は,文献1)では「音」と「テスター」を検出器としている。これだと判定がしづ

らいと考えたので,本器はガルバノメータとする。

・信号源として位相形発振器(発振周波数1 kHz)を内蔵(INT)する。また,外部からも信号源を

接続できるようEXT IN端子を設け,スイッチで選択できるようにする。

・電源トランスの二次側を両派整流し,三端子レギュレータでDC±8 Vを得る。

 

3.回路・部品・実験

3-1.ブリッジ部

Fig.3-1ACブリッジの平衡条件は式3-1で表せる。

Fig.3-1 AC ブリッジ概念図 

        

ZaZd ZbZc  ・・・・・・・・ 3-1 

 

最も簡単な抵抗の場合を考え,各インピーダンス

を次のようにレイアウトする。

Za;ポテンショメータ(1 kΩ,10回転)

Zd;精密抵抗器(0.1 %クラス)

Zb;被測定物(抵抗器)

Zc;基準抵抗器(10 Ω,0.1 %クラス)


          

                        

3-1を変形すると

 ZbZaZd/Zc      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  3-2

であるとき,ガルバノメータの指示がゼロになる。この際,ポテンショメータダイアルの読みが“掛算”になるようブリッジ素子を配置するのがポイントである。

〇被測定物Zbと基準値Zcがどちらもキャパシタ → ZaZcを入れ替えが必要

〇被測定物Zbがインダクタで,基準値Zcがキャパシタ → ZaZcの入れ替えは不要

 

1)電波科学 19798月号 日本放送出版協会 138

3-2.位相形発振部

 一般的な方式でFET+トランジスタで構成する。

3-3.平衡検出部(ガルバノメータ)

 センターゼロで±50 µAフルスケールの直流電流計があったので,これを使用しオペアンプにより

 ブリッジBC間の電位差を増幅・検波して平衡検出する。

 

4.結果

 測定結果を表4-1 ~ 表4-3に示す。

4-1 抵抗測定結果

抵抗    結果     

HIOKI  3246-60

本 器

備考/考察

10 Ω   

  9.9

 10

 

 

 

 

 

 

感度切換を操作を適切に行い,ポテンショメータで直読値が3桁程度になるようにする。

 

56

 54.7

 57

100

 99.6

101

200

207.1

201

330

330.1

335

390

384.9

400

470

471

495

 1 k

996

1.05 k

2.2 k

2.175 k

2.25 k

4.7 k

4.63

4.75 k

10 k

9.95 k

10.1k

22 k

22.02 k

22 k

47 k

46.2 k

47 k

68 k

67.6 k

69 k

100 k

99.6 k

100 k

226 k

226 k

225 k

402 k

398.6 k

410 k

499 k

494 k

500 k

750

751

760

909 k

913 k

910 k

 1 M

1.052 M

1.02 M

     

4-2 キャパシタ測定結果

容量     結果     

HIOKI  3246-60

本 器

備考/考察

    100 pF

 104

 

 

 

 

操作は抵抗測定と変わらない。

 

 

 

 

 180

 179

 270

 264

 470

 494

1 000

1 040

1 500

1 540

2 200

2 210

4 700

4 940 

5 600

5 660

0.01(10 000)µF

0.011

0.022

0.024

0.033

0.029

0.047

0.048

 

4-3 インダクタ測定結果

値      結果     

HIOKI  3246-60

本 器

備考/考察

   47 µH

 47

 

100

105

フェライト形

220

222

フェライト形

470

 

680

 

1 m(1 000 µ)H

1.02

フェライト形

2.2

 

2.5

 

4.0

直流抵抗rd=60 Ω

5.2

 

ハニカム型空芯

測定可

      ※HIOKI 3246-60;ペンシルテスター(キャパシタ・インダクタの測定不可)

 

5.最後に

 Fig.5-1に機能表示を入れた外観,Fig.5-2にその内部を示す。

   
  Fig.5-1 外観  Fig.5-2 基板実装内部状態 
                        

 

持ち材料の基板や抵抗・キャパシタなどを使用し,\5,300- で完成できたことはほぼ目論見どおり

であった。ポテンショメータの精度・直線性だけで測定値が確定するまでに漕ぎつけたが,自作して

みると単一ACブリッジは,“このような性能・操作感触なのかな”と実感している。真空管回路への

実用性は充分だが,基準値(測定範囲拡大/直流抵抗分除去)・検出回路等に改善の余地がある。










5球スーパーラジオキット 5S-STD 製作記

2022年1月3日

畑 清三

序、 「カムカムエブリバディ」を見ていて真空管ラジオを作りたくなりました。

   どうせなら5球スーパー、ただし、ラジオはほとんど作ったことが無かったのでキットで、ST管はラジオ全体のかさが

大きくなるのでMT管でと探した所、ラジオ少年のホームページに行き当たりました。

購入の結果、シャーシに追加の穴あけ、パーツの定数違いなどありましたが一発でOK、現在大変良い音で

鳴っております。 中学、高校以来、何十年ぶりかの物つくりの楽しさを味わう事が出来ました。

 

1,       工具その他の準備

ブラスドライバー           小型マイナスドライバー

テスター                    ハンダゴテ                           糸ハンダ

ニッパー                    ラジオペンチ

          ハンドドリル                ドリル刃2.5mm3.mm     センターポンチ

回路図のコピー1部(配線チェック用)

 

2,       部品チェック

梱包を解いて最初に部品がそろっているか、部品一覧表でチェックします。

写真―1、全パーツ

          基本OKでしたが定数が違っている物がある様です・・・気にせず次へ。

3,       部品取付け(穴あけ)

先ず、最も注意する点はケガ、火傷と感電です。

                   ドリルでの穴あけ時、また、シャーシエッジのバリや尖った部品での切り傷、刺し傷が懸念されます。

                   ハンダ付け初心者は少なからず火傷を負います。通電時はトランスの端子や配線に触って感電しない様

                   注意が必要です。特に電源トランスの高電圧端子は命に関わる電圧です。

部品付けの順番は基本、軽量の部品から取付けます。重量物を先に付けてしまうと取り回しが大変に

なってしまいます。

今回は途中で気づいたのですが、シャーシに以下のねじ穴が足りません。

OSCコイルキット、 シャーシ中央のラグ端子

この穴は部品取付け前に穴を開けた方が良いでしょう。

                   その他の注意点としては、真空管ソケットの向き、IFTの向き、出力トランス、電源トランスの向きが

要注意です。

 

写真―2、軽量部品取付け後

 

                    上の写真の様に電源トランスはハンダ付け開始直前に、 

バーアンテナはワイヤーが細く、取り回しの最中にワイヤーを切ってしまいそうなのでハンダ付けの最後の

段階で取付けました。

                    今回の最大の難点はバーアンテナスタンドです。

                   バーアンテナをバーアンテナスタンドに差し込むのが固く(穴が小さく)素手では難しいです。

                   下手をするとバーアンテナを壊してしまいそうですので工夫が必要と思います。

                   ラジオ少年さんには是非改良をお願いしたい所です。


 

4,       配線、ハンダ付け

4-1、GND、ヒーター、電源配線

 人により流儀があるかと思いますが、私はGND、ヒーター、電源配線から行います。

ヒーターはオーディオ屋の癖で2本を、今回はGNDとヒーターの線を撚って配線しています。

注:GND配線(メッキ線)に部品をハンダ付けする時に、ヒーター配線の被覆を溶かす恐れがありますので通常は添付されている実態配線図通りが良いと思います。

次ページにGND、ヒーター、電源配線を終えた時点での写真を載せます。

                    ここで一旦、真空管をソケットに挿して電源を投入、全ての真空管のヒーターが点灯する事を

確認します。 中古真空管を使う場合は真空管の最低限のチェックにもなります。

 

写真―3、GND、ヒーター、電源配線

 


 

4-2、抵抗、コンデンサの取付け、ハンダ付け。

                    先ず、回路図と部品の定数の違っていた物を以下に列記します。

                   尚、()内は回路図に記載が無かった定数です。

 

                                       回路図                                       実部品

                                      300Ω                                        330Ω

                                      50k                                           51k

                                      5M                                            5.1M

                                      250k                                         240k

                                      500k                                         470k

                                      430Ω                                        420Ω

                                      0.1uFAVCラインデカプリング    0.1uF

                                      0.02uF                                      0.01uF

                                      0.0022uf                                   0.001uF

                                      100uF/50V                                33uF/25V

 

                    以上は実動作に問題ありませんが、電子工作の初心者には困惑の種になるかと思われます。

                   次項に完成後の写真を載せます。

                   以下、ハンダ付けで初心者にとっては難しいと思われる点を記します。

                             B電源平滑回路の出力側は1つのラグ端子に部品3個、配線3本をハンダ付けする様に

なっており困難です。端子2か所を使って配線する様に変更した方が良いと思います。

 

5、完成写真

 

写真―4、配線状況

 

 

 

写真―4、全景

 

5,       配線チェック

 

下の回路図の様に、完成した配線と回路図を比較、間違いが無いかを色線で上書きしながらチェックを

          進めます。 初心者にはこの作業は不可欠です。

     特に注意する点は、電解コンデンサの極性に間違いが無いかです。

          間違っていると、破裂したり、液が噴き出したりで大変な事になります。

図―1、チェック用回路図

6,       作製後記

基本、問題は少なく、一発OKで鳴り、又、発振やノイズの問題も全く無しで良い音です。

          真空管ならではの柔らかい音で大変気に入っています。  

          IFTはもちろんトリマの調整も必要なく大変良くできたキットと感心しました。

          改良点は在るものの教育用として、又、個人の趣味用として損の無い買い物と思います。

          マジックアイの追加や、木のケースを作らねばと夢が広がっております。

           ラジオ少年の皆様にはNPO法人としてご苦労も多いかと推察しております。

          アナログ技術者の不足が大変深刻な中、大変意義のある活動と思います。 是非とも継続、発展を祈念して

          感謝の言葉に代えさせて頂きます。




ツェナーダイオード 電圧チェッカーの製作

 

山田 泉

2021.03.29

 

1.はじめに

 ツェナーダイオードの電圧表示が薄れて確認しづらくなっている。最近購入したツェナーは表示が非常に分かりにくく,袋から取り出したら判別できなくなった。

そこでツェナー電圧が簡単に分かるチェッカーを製作することにした。

 

2.構想

 使用してきているツェナーは概ねVz15 Vのものなので,Vz20 Vまで確認できれば良い。

三端子レギュレータを用いて(三端子レギュレータ自身が動作するための)クワイセント電流に加えて,負荷に流す電流をレギュレータ出力側の抵抗で可変する。

 

3.回路設計

 本器の製品仕様を表3-1に示す。

3-1 製品仕様

       

仕 様

備 考

測定範囲

2 V 20 V

 

電流可変範囲

5 mA10 mA15 mA

4 mA;クワイセント電流を含む

電圧検出

20 V直流電圧計

 

消費電力

AC100 V/5 VA

 

外寸/質量

W150×D150×H70 mm/2 kg

 


               

Fig.3-1 概略回路図            Fig.3-1に概略回路図を示す。

使用するレギュレータは+5 Vで,クワイセント

電流Iw4 mAに加えて出力側からR=5.1 kΩで1 mAを流し,最少電流5 mAと設定する。

 ツェナーダイオードの特性から,最少5 mAを流せば頻繁に使用するVz5.1 Vは動作するためである。

 被試験ツェナーを端子に接続し,これを直流電圧計で読み取れば良い。電流を切換る抵抗は

R11 kΩ (≒10 mA

R2499 Ω(≒15 A

とする。                               


     

 全波整流回路から22 V以上加われば,15 Vのツェナーはチェック可能である。30 Vも印加できれば,20 Vまでは十分測定可能になる。Fig.3-17.参考文献の記事を使用させていただいた。

4.部品入手経過

 電源トランス・整流回路は,使用しなくなった某社カセットテープデッキのを取外し流用した。調べていくと比較的簡単な回路で構成されているが,脈流+30Vも取り出せることが分かった。

また,筐体は摂津金属工業にCA-70W(H70 mm×W150 mm×D150 mm)があり,外観も品位も測定器向きで良好なので,Amazonで購入した(1,360-)。

 20 V直流電圧計は,以前カーバッテリー電圧指示用に購入したもので 電源インレット・ヒューズホルダ・端子・ツマミ・トグルスイッチ・ネオンランプなど小物部品は手持ちを使用した。

 

5.製作状態

 Fig.5-1に外観,Fig.5-2に背面を示す。またFig.5-3Fig.5-4は内部の状態である。



        Fig.5-1 外観                  Fig.5-2 背面

 

        Fig.5-3 内部状態                Fig.5-4 内部状態

 

 電源の脈流電圧が大きいため,20V直流電圧計のフルスケールに収まるように,電圧調整用のツェナー8.2 Vをレギュレータ入力側に入れた。

 

6.測定結果

 Fig.5-1の赤端子にツェナーダイオードの+側,黒端子に-側を接続する。実用性は十分である。

 

7.参考文献

 電子工作バイブル(アクションバンド電波8月号別冊) マガジンランド 2002年8月1日発行

 


NO.1  ヒーターの電圧を自由に変える回路    投稿者  札幌市 原恒夫 Email  ja8atg@jarl.com

 ヒター電圧が6.3Vや12V以外の真空管は使いづらいですね。簡単な回路で条件はあるのですが、かなり自由に電圧を変えることが出来ました。
 条件 
 1 真空管のヒーター電圧が直列(1本でも可)つなぎにして合計50V以上あること。
 2 個々の真空管はヒ-ター電流が同じこと(例300mAシリーズ)

 使用法

 実験では、19M-R10を4本で4球ラジオ作りました。19V管ですので、直列につなぐと19V×4=76Vが必要です
さすがに100Vをそのまま入れると高すぎますので、ダイオードを直列に入れてみます。すると交流の+側だけでヒーターをあたためることになります。真空管1本にかかる電圧は多少のバラツキがありますが11V程度になりました。19V管に11V程度では低すぎます。
ダイオードで交流の下半分が削られてしまったので大幅に電圧が下がってしまったようです。

 では、交流の下半分をコンデンサーで補ってやろうと33μFを回路に並列にいれてみました。するとなんと1本あたり27Vも電圧がかかったではありませんか。慌ててスイッチを切りました。

 今度は、並列に10μFを入れて見ました。すると1本あたり19V~20Vになってくれました。つまり回路に並列に入れるコンデンサーの容量により電圧を自由に変えることが出来るようです。

 直列に入れるダイオードは当初1000V1Aを入れていましたが、電源を入れた瞬間にヒーターに大きなサージ電流が流れ壊れてしまうことがありました。3Aのダイオードでは特に保護抵抗入れなくとも壊れていません。

 電流が同じ真空管ならダイオード1本、コンデンサー1本でヒーター電圧を変えて使えそうです。これでTV球も有効利用出来そうです。


 
 回路は簡単


 
19M-R10 これで1本に19V~20Vがかります 


 不思議! 手持ちの30A5を4本直列につないでみます。ヒーターの合計電圧は30V×4本=120Vが必要です。
 この回路に100Vを入れると1本に11V~12Vの電圧がかかりました。

 回路に並列に47μF入れるとなんと全体の電圧が113Vまでアップしました。
 これで、30A5の1本のヒーターに28V~30Vがかかるようになりました。
 
 つまり電源の100Vを超えて直列つなぎにしたヒーターにも適切な電圧を与えることが出来るのです。 
 ヒーターの合計電圧が100Vを超え最高何ボルトまでのヒーター回路に適切な電圧を与えることが出来るのでしょうか?

 
30A5 これで1本に28V~30Vかかります 



NO.2 平滑コンデンサーの放電抵抗のすすめ  投稿者 那覇市 城間良彦様
 
 アンプ等を調整中に一度電源を切った後に高圧回路にさわるとコンデンサーに残っていた電気で感電することがあります。
稀には翌日までコンデンサーに電気が残っていることもあります。
 そこで、高圧回路に放電用の抵抗を入れておくとすみやかに電源回路に残っている電気を放電させることが出来、感電を防止することが出来ます。
 整流管に直熱タイプのものやダイオード整流の場合は、真空管のヒーターが暖まり高圧電流が流れる前に無負荷状態になり異常な高圧電圧が電解コンデンサーにかかるのを防止するブリーダー回路にもなります。


NO.3 手元電源スイッチ 投稿者 那覇市 城間良彦様

 試作機の調整等の際に手元に電源スイッチがあると便利です。手元スイッチは100円ショップにあります。

 


NO.4  テスト電源ケーブル  那覇市 城間良彦様

 
廃棄する家電品などから切り取った電源コードに、ヒューズとワニ口クリップを取り付け、テストケーブルを作ります。使用法は自己責任です。主に電源トランスのテストに役立ております。

 

NO.5 バリコンにトリーマーを取り付ける  札幌市 原恒夫


 最近はトリーマーの付いたバリコンを探してもめったに見つかりません。見つかっても高価です。
 そこで、手持ちのトリーマーを取り付けてみました。幸いトリーマーの3点をバリコン本体に半田付け出来ましたので、安定して固定出来ました。それで「ラジオ少年」でもこのトリーマーの頒布を開始しました。

 

NO.6 半田鏝、簡易温度制御スイッチ  喜多方市 岩渕 美智男様

 通常40Wの半田鏝を使っていますがワット数に対して鏝先が小さいのか電源を入れたままですと過熱して鏝先が黒くなってしまいます、そこで半田鏝の電源を取るテーブルタップに中間スイッチを付けスイッチ部に1N4007等の高電圧に耐えるダイオードを入れて鏝を使わない待機時にスイッチを切りにしています、そうすると鏝の電圧が半分になり過熱を防ぐ事が出来ます
 またプリント基板等の半田付けでワット数が小さい方が良い時もスイッチ切りの状態で適切な温度で半田付けをする事が出来ます、注意点は半田付け作業以外の時は中間スイッチを必ず入りの状態にして置くことです、ワット数か大きい機器を使おうとするとスイッチ切りに位置ですとダイオードが損傷しワット数が小さい物ですと異常動作をします。


NO,7【簡単で実用性のあるTUBEチェッカー】の実験

            東京都練馬区  武 真一

テスターで電圧を測るような手軽さで、『手持ちの真空管の良否を簡単にチェック出来ないものか』そんな思いでインターネットのサイトを見ていたら『あなたの真空管を調べてみましょう』と題された新宮 寛氏の製作記事が目に留まりました。このチェッカーはgm計測式に属しますが通常のチェッカーと異なり、gmの値を直接計測するものではありません。その理由を設計者の説明文から抜粋転記いたします。

『既製のチューブチェッカーにはエミッションを測定するものと、gmを測定するものとがあります。エミッション式のものは非常に簡単ですが、グリッドなどの電極がどうであろうとも、エミッションが出ていればOKと判断され正確さに欠けます。またgmチェッカー式のものはすべて複雑になり取り扱いが簡単にいかず、使う度に一々説明書を読むようでは不便です。それにメーターに現れたgmの値も信用のおけるものではありません。(これは米国製の有名なチェッカーにも言えることです。)  我々アマチュアはgmの値を知ったからといって、一々計算してセットを設計するものではありませんから、わざわざこんな複雑な測定器を用いる必要はありません。そこで私達アマチュアが使うに手頃な、そして取り扱いが簡単で、実用上まったくさしつかえの無いチューブ・チェッカーの回路と製作法、使用法などについて次に説明してみましょう。』・・・・・

既製チューブチェッカーのgm値が信用できるかどうか私には判りませんが、『我々アマチュアはgmの値を知ったからといって、一々計算してセットを設計するものではありません・・・』この見解に関しては私もまったく同感です。また同名の真空管の中から標準球を設定し、その計測値を基準にして対象球の良否を判定する方法は、私の求めていた簡易な計測法と一致するとの期待から早速実験回路を組んでみました。


回路図は【第1図】のように非常に簡単です。以前真空管試験機をバラックで組んだシャーシを利用したので短時間で回路を組み立てることができました。配線をチェックして各所電圧等を確認した後、手持ちのだいぶ使い古した感じの12BH7Aを計測してみました。入力ボリュームを0にしてSWをON、ヒーターが温まったらメーターSWを押しながら指針が150μAを指すところまでボリュームをまわして、100等分値を記録します。次にユニット切り換えSWで第2ユニットを計測するとメーターの針が15μA程度低下しました。こちらのユニットの方が経年劣化が進んでいるようです。 ボリュームに連動するメーター指針の動きや、スイッチ類の切り替え動作などから、実験回路は正常に動作していると確認できたので、手持ちの真空管を次々に計測してみました。その結果得られた各球の数値はメーカー規格表のgm値とほぼ連動している傾向が確認されました。

これは『実用になる』と確信を得られたので常備の測定器にしようと思いましたが、さすがにバラックでは計測にも保管にも不便なので、新宮氏の記事に習って木製枠にアルミパネルを乗せ、真空管ソケット、SW類、メーター等を取り付ける形のケースに組み直しました。真空管試験機らしくなったと自画自賛しています。【第2図】

 
 【第2図】
TUBE Gm 計測値
6AU6 3,900 41
6EJ7 15,000 30
12AT7 4,000 31
12AU7 3,100 37
12AX7 1,250 54
6FQ7 3,000 34
12BH7A 3,100 33
6GA4 7,000 23
6GB8 20,000 23
6GB3A 14,000 33
25E5 14,000 30
6SN7 3,000 37
6080 7,000 46
6JE6A 9,600 27
6HB5 9,100 22

   各真空管計測値



最後にこのチェッカーの使い方を再度説明します。まず計測する球と同名の真空管の中から、「比較的新品に近いもの」を標準球とします。当該のソケットに挿入してヒーターが温まった後、メーターSWを押しながら(メーター開放状態)針が150μAを指すところまでボリュームをまわして 100等分目盛を読み取り、これを基準値とします。次に計測する真空管に差し替え、ボリューム目盛を基準値にセットして、ヒーターが温まったらメーターのボタンを押して針が150μA近辺を指せば勿論良品です。設計者の判定基準では120~180μAはOK、90以下はNG、その中間は使う場所により微妙とあります。







実際の計測では標準球の入手が一番の難問と思われますが私は次の様に考えています。  ①同じ品名の球が数本ある場合には全数を測ってボリューム目盛の一番小さい(gmの大きい球)を標準球とする。      ②1,2本の場合にはgm値の近い同類の真空管の計測値から類推して基準値を決める。      ③単独球の場合には取りあえず計測値を暫定基準値として、のちに同名の球の計測を行った際の数値と比較校正して徐々に精度を高めてゆく方法がより現実的であると思われます。

現在、試行錯誤を繰り返しており未だ完成の域には達して居りませんが、取りあえず手持ちの真空管各種を計測できるレベルまでに達しましたので、簡易チューブチェッカー製作の経緯を中間報告させていただきました。先諸諸氏のご批判を頂ければ幸甚です。


NO.8 3S-STDの非同調のRFCを455kHzに同調させてみる
  NPO法人ラジオ少年 原 恒夫


 3S-STDはIFTを1個としてコストダウンをしています。しかし、混信に弱く隣接する放送を完全にカットすることが出来ません。
そこで、本来2個目のIFTが入る位置に付けている4mHの高周波チョークに30PF程度のトリーマーをチョークに並列に入れて455Khzに同調をとってみました。

 これが結構効果があるようです。





 最大容量30~50PFの小型のトリーマーを4mHのチョークに並列に入れ、テストオシレッターで455khzを入れて最大信号を得られるようにトリーマーを調整します。テストオシレッターの無い方は、弱い放送を受信しておいて最大出力にすれば良いです。

この高周波チョークの容量がかなり正確に4mH=4000μHなので455kHzに同調させるには30pFのコンデンサーが必要です。30pFの固定コンデンサーでも良いかもしれません。