実践500円ゲルマラジオの製作
筆者 ラジオおじさん JA8ATG 原 恒 夫
1 500円以下のゲルマラジオを考える
小学生の皆さんなどにラジオ作りに最適な「ゲルマラジオ」ですが、製作講習会を開く場合一番問題になるのが製作費用です。小学生に出しやすい(出せる)金額は500円以下ではないでしょうか。
そこで、おじさんは500円以下のゲルマラジオの開発に取り組みました。
予算配分です。
イヤーホン 200円
ホルマル線 10円
ボビン(コア) 90円
ポリバリコン 100円
ダイオード 20円
ケース 30円
つまみ 50円
合計 500円
こう予算を上げてみますとなかなか厳しい予算ですね。しかしなんとかなるかもしれません。早速試作してみました。
2 トロイダルコアを使ったゲルマラジオ
どうせアンテナをつけなければ聞こえないゲルマラジオですから大型ボビンに巻いてQを高くして高感度にしなくてもいいのではということでトロイダルコアで同調コイルを作ってみました。
アミドンの82#43コアに0.5mmのホルマル線29回(容量約400μH)の同調コイルだけを巻いて、5mの線を付けてアンテナにしてみました。最大容量160pFと70pFのポリバリコンを並列接続で使います。巻き上げたコイルとバリコンを接続してディップメターで最低周波数を調べてみました。しかし、コイルのQが低いのかさっぱりディップがわかりません。計算では500kHz位が受かりそうですからこれで作りました。
ケースは、100円ショップを歩き回って4個100円、つまり1個約25円の蓋が堅めのケースを選びました。
早速聞いてみますとチャント聞こえるではありませんか。この設計でぎりぎり500円以内に収まりそうです。500円に抑えるため本当は付けたかったアンテナターミナルもリード線でがまんしました。ラグ板も省略してダイオードは空中配線です。空中のダイオードが動かないようにリード線は丸めました。
トロダルコアを使ってみました | 延長スペサーでつまみ付けて完成 |
3 バーアンテナを使ったゲルマラジオ
バーアンテナを使って同じようにゲルマラジオを作ってみました。予算を抑えるために140mmのコアを半分に切断して70mmにしました。コイルは0.2mmの線を80回(約400μH)巻きました。
書けば簡単ですが、大問題が発生しました。フェライトコアを半分にするため金切り鋸でコアを切ってみましたが全く刃がたちません。切れないのです。そこでハンマーでコアの中央をたたいてみましたらコアがバラバラになってしまいました。
考えた結果、力を集中させるためコアの真ん中にだけ力がかかるように万力でコアを挟んで、マイナスドライバイーを当て金槌でたたきますとすんなり半分に折れてくれました。本当は、ドライバーでなくタガネでやるべきでしょう。おじさんの工具は目的外に使うためガタガタです。
モデルはおばさんです | 右は失敗してバラバラになったコア | バーアンテナはセロテープ止めです |
めでたくバーアンテナ式ゲルマラジオも完成です。フェライトコアを半分にして1本を2本にすることによってなんとか500円の予算範囲に入るようです。バーアンテナの場合はデイップも深く同調周波数がはっきりわかりました。
私の工作室は半地下にあり気が付きませんでした。なんと外に出て聞くと内蔵バーアンテナだけで聞こえているではありませんか。超高感度です。びっくりです。(2005.3.14発見) 送信所は、約15km離れた江別市にあります。
4 おまけのゲルマラジオづくり
100円ショップをみているうちに何個かプラスチックケースを買ってしまいました。本末転倒ですがケースに合わせてゲルマラジオを作ってしまいました。アエアーバリコンを使ったため、予算の500円は完全に越えてしまいます。
バーアンテナとエアーバリコンの組み合わせ
なんの特徴もないのですが、バーアンテナを使ってみました。
ソレノイドコイルとエアーバリコンの組み合わせ
5 雑 感
どんなに安く作っても基本性能が悪く聞こえなければ小学生の心に感動は生まれません。心に感動が生まれてこそ次の行動力を育むと考えています。