実践超高感度ゲルマラジオの製作
筆者  ラジオおじさん  JA8ATG  原  恒夫

1 超高感度ゲルマラジオはできるのか?
 それは、2005年3月15日のことです。私のラジオ製作室は半地下にあり、家の土台になっていますので鉄筋コンクリートで囲まれています。ですから、ラジオは入りにくくアンテナを外に張り、ケーブルで引き込んでいました。で、この日バーアンテナを使ったゲルマラジオを作っていて思いました。
「バーアンテナだからアンテナを付けなくとも聞こえるかもしれないな。」
長年鉱石ラジオやゲルマラジオを作って来ましたが、
「ゲルマラジオはアンテナをつけなければ聞こえない。」
とずっと思いこんでいました。だから少年時代には、巨大アンテナの製作などにトライしてきました。それから50年以上も時間が過ぎましたがふと思い付いたのです。
 早速外へ出てゲルマラジオを聞いてみました。なんと聞こえるではありませんか!!! バーアンテナの8の字の指向性もチャント出ています。聞こえるのは1440kHzのSTV(札幌ラジオ放送)だけです。少し地上高が高くなる1階の居間ではいっそう良く聞こえるではありませんか。では、もう少し地上高の高い2階ではどうでしょう。2階の寝室に行ってみました。
「聞こえる、うるさいほど聞こえる!」
2階では、1280kHzのHBCも747kHzのNHK第二放送、567kHzのNHK第一放送もバーアンテナだけでかすかながら聞こえるではありませんか。

7cmの長さのバーアンテナ 14cmn長さのバーアンテナ

2 バーアンテナを大きくしてみる
 翌日、3月16日、バーアンテナをこれまでの7cmから倍の14cmにしてみました。勿論フェライトコアが長くなるとコイルのインダクタンスも増えるので、コイルの巻き数は少なくて必要な390μHは得られました。早速長いバーアンテナのゲルマラジオを作って受信音量を比較してみます。
「すごい。倍は音量が上がった。」
7cmのバーアンテナでは、かすかであったHBC、NHK第2放送、NHK第一放送もはっきり聞こえるのです。
「よーし、フェライトコアを何本か束にしてみよう。」
こんな経過で、翌17日、3本のフェライトコアを束にし、エナメル線も0.3mmから太い1mmの物に取り替えてみました。
 このコア3本バーアンテナで確かに受信音量は上がっています。弱かった低い周波数の局もよりいっそうはっきり聞こえるようになりました。今まで、ゲルマを2個、4個など使って倍圧整流など試してきましたが、殆ど音量が大きく感じるまの効果は認められませんでした。
「コイルを工夫することによって、もっと感度を上げることが出来るかもしれない。」
そんな思いが頭の中をよぎりました。読者の皆様はどうお考えですか。 

コアを3本束にしてみました バラックで作ってみました

3 感度アップの要素は
 いくつかのゲルマラジオを作って、定数的デターはないのですが、感覚的なバーアンテナを使ったゲルマラジオの感度を決める要素はほぼつかめました。まとめてみますと、
(1)フェライトコアは長い方が感度が上がる。
(2)フェライトコアの太さが太い方が感度が上がる。
(3)コイルの太くしてもあまり感度アップにならない。
(4)ダイオードを複数使って倍電圧検波をしても理論的に検波出力があがるはずだが実際には効果がない。
(5)復同調回路は、損失が増えて感度は悪くなる。
(6)コイルのインダクタンスとバリコンのキャパシティーの組み合わせ方で周波数により感度差が生じる。

 これらの経験を生かしたゲルマラジオの設計をすることが感度アップにつながります。

 さて、このような記事を書きながらラジオ製作の掲示板やアマチュア無線の先輩に助言をお願いしていたところ、更に感度を高める要素を提供いただきました。それは、
(7)コイルの巻き数を多くすると感度が上がる。
 
 しかし、例えば(1)、(2)の感度アップ対策をすると、コイルのインダクタンスは増えてしましい結果としてコイルの巻き数はへらさななければなりません。これでは、一方で感度アップ対策をし、もう一方ので感度ダウンをすることになり矛盾してしましいます。

 そこで、おじさんは考えました。フェライトコアの太さを増やしすあるいあはフェライトを長くする、しかしコイルは直列や並列つなぎで巻き数を増やすがインダクタンスは直列または並列つなぎで調整することにしました。下の試作機をご覧下さい。フェライトコアは、2本にしてコアを長くしたあるいは太くしたと同じ感度アップの方策です。そして、コイルは必要な直列または並列接続で、インダクタンスを調整し、コイルの巻き数は結果的に増やすことにします。コイルの巻き数が増えるのは、二つのコイルを並列接続にするインダクタンスは半分になりとコイル1個の4倍の巻き数をまけることになります。
 これで、コアを太くした(又は長くした)効果とコイルの巻き数を増やすダブルの感度アップ対策になるでしょう。
 では、本当にこのような方法は大幅な感度アップにつながるのでしょうか。このような方法で、バーアンテナを無限に増やしていくと、感度も無限に上がっていくのでしょうか。

 これはコイルを直列につないでいます


続く