ラジオ製作のための小さな工夫
    筆者  ラジオおじさん   JA8ATG  原  恒夫

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タ イ ト ル  内             容
バリコンの金具 価格表示用の金具でバリコンの留め金具作りました
ポリバリコンの延長シャフト つまみを付けるため延長シャフトを作りました
テスト用電源コード 試作機に仮にACに接続する時の電源コードです
海外機器テスト用トランス 電圧の違う海外製品のテスト用トランスです
ハトメレスコイル 面倒なハトメを付けるのを留めてみました
バーアンテナのコイル留め プラスチック薄板を使ってコイルを留めました
バーアンテナのコイル留め2 プラスチック薄板を使ってタップを出しました
青少年への配慮 青少年に興味関心を高める工夫は?
ラジオ製作会で伝えるもの 知識か、技術か、発見か???
10 トロイダルコアの共振周波数 測定の難しいトロイダルコアの共振周波数を測定の工夫
11 水晶発振器やセラミック発振子のテスト方法 ジャンクや定格のよく分からない発振子のテスト方法
12 テスト用電源 捨てた乾電池の再利用です




1 バリコンの金具
 バリコンを手に入れても、留め金具がついていないことの方が多いので、文具売り場で見つけた「価格表示用の金具」でバリコンを固定する金具を作ってみました。この金具は、見かけはステンレスのようですがそれほど堅い金属ではなく、穴開け加工や金切りはさみで切ることが出来ます。どうしてもねじ留めの穴が合わないときは、ドリルで新しい穴を開けます。紙を挟むところを少し残しておくとアースを取るとき半田付けがしやすいですよ。
 ちなみに大きい金具は48円、小さい金具は28円でした。

価格表示プレート8円と48円 ゴム足も付けました 新しく穴をあけました 逆さまですが付きました

2 ポリバリコンの延長シャフト
 ポリバリコンの延長シャフトを買うと100円はします。ここでは、5〜10円のプラスチックスペーサーと2.6mmビスを使って安価に延長シャフトを作ってみました。ビスは、皿ビスが良いです。スペサーは直径6mm長さ8mmを使いましたが、必要な長さのスペーサーを求めて使います。ボルトは、スペーサーより2mmくらい長いものを使います。長すぎるとスペーサーを固定できません。勿論プラスチックでなく金属のスペーサーでも結構です。

材料は、スペーサーと2.6mmビス つまみが付きました

3 テスト用電源コード
 正体不明の電源トランス、作りたてのラジオに半田付けなしに電源を付けて見たいなどに1本あると便利な蓑虫クリップを付けた電源コードです。念のためヒューズも付けておきましょう。同じ長さにすると蓑虫クリップが触れあってショートすることがありますから、コードの長さは少し変えておきます。




4 海外電気器具用トランス
 外国製のラジオ、無線機などをテストする際に使います。このトランスはもともとゲーム機に入っていたものですが、輸出を考えてか入力電圧が90Vから240Vまで対応していました。二次側は低電圧ですが全く使っていません。一次側をオートトランスとして使っています。5A位流しても発熱もなく便利に使っています。電圧の調整は、蓑虫クリップで必要な電圧のところに接続します。電圧にミスは許されませんませんので、気をつける必要があります。

  90V〜240Vまでタップが出てます HPのために慌てて板に載せました

5 ハトメレスコイル

 コイルのハトメをかしめるペンチを作っていて考えました。
「こんなハトメを付ける付ける必要があるなかな?」
乱暴な発想ですが、何度か付け替えるなどしなければハトメを付ける必要がないのではないのでしょうか。−−−という訳で早速作ってみました。簡単で、コイルがほどけないようにボビンの縁に穴を開けて、1〜2回巻き付けただけです。コイルからの線は、10cm〜15cm位長めに出しておき、バリコンなどに直接半田付けします。勿論なるべく短く配線しましょう。。あまりにも手抜きにアイデアでしょうか???

ボビンの端に穴を開けておきます 線を端の穴に1〜2回巻いて固定

6 バーアンテナのコイル留め
 タイのキットメーカーのコイルを巻き替えていて気が付きました。バーアンテナのコイルの留めを透明な薄いプラスチックを切って作っています。私は、今までコイルの端を留めるため伝統的な紙を折って入れておいてコイルの巻きはじめ巻き終わりを留めていました。しかし、紙の場合は、弱くて切れてしまうことがありました。プラスチックの薄板は丈夫で切れませんし、引っ張ってコイルの幅に合わせて抜き差しして位置を自由にを変えられます。丈夫で切れません。タイのキットメーカーのパクリ(?)です。プラスチックの薄板は、OHPシート、お菓子の袋、弁当のプラスチックケースなど身近に沢山あります。あまり薄くても、厚くても作りにくいです。

弁当のプラスチックが最適の厚さ 幅2mmくらいに切ります
プラスチックに巻き初めを固定 巻き終わりを固定したら引っ張る


7 バーアンテナのコイル留め その2
 6と同じような方式で、コイルの端を留めたり、タップを出しました。太さ1mm位のプラスチックの棒、堅めのナイロン釣り糸、爪楊枝や竹串でもいいでしょう。

タップも自由に固定出来ます

8 青少年に興味関心を高める工夫
 これは、ラジオだけに限りませんが、青少年に興味関心を高めるためには、実験は必ず成功することが大事です。特に年齢が低いほど実験は成功させなければなりません。ゲルマラジオも「鳴ること」が絶対的条件です。高校生以上でしたら、「今日はアンテナが小さいから聞こえませんでした。」で納得するかもしれませんが、小学生は納得しません。必ず「鳴らす」ことが必要条件です。
製作講習会の会場が立派な会館などで鉄筋コンクリートで室内がシールドされていると、例え放送局の近くでも室内アンテナでは聞こえなことがあります。アンテナを外に張ろうとしても窓が開かないこともあります。講習会では事前に下見をしておくことや、きちんとしたアンテナを張っておく必要があります。電波が弱い地域では、AMワイヤレスマイクで室内に電波を飛ばしておくと良いです。できれば、2波を出しそれぞれ違うCD等をかけておくなどの仕掛けが必要です。授業は、手品と同じで周到な準備の上に成り立ちます。
 強烈なインパクトを与えることが、青少年にの心に感動を与え、次の行動の原動力なります。

9 ラジオ製作会で伝えるもの

 青少年向けにラジオ製作会を開いた場合に、私たちおじさんはなにを青少年に伝えようとしているのでしょうか。個人差がありそうですね。私の場合は、
(1)ラジオの動作原理
(2)部品の働き
(3)コイルの巻き方半田付けの仕方、材料の加工などいわゆる技術
(4)ものづくりの楽しさ

 (4)は、教えるというより青少年に感じてもらうというところでしょうか。教える個人によって軽重の違いがあってもおおよそ(1)〜(4)の内容でしょうか。しかし、与えられた時間や会場などの条件によって、全部の内容を伝えられないこともあるでしょう。私は、このようなラジオ製作の依頼を受けた場合、どんなに時間が短くても、なんとかこの4つの内容を全部網羅するようにしています。例えば、時間が短く1時間という場合でも全部を消化しょうとします。

(1)ラジオの動作原理 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1分
(2)部品の働き−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1分
(3)コイルの巻き方半田付けの仕方、材料の加工などいわゆる技術−57分
(4)ものづくりの楽しさ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1分

というような配分です。時間が8時間というようなゆとりのある場合は
(1)ラジオの動作原理 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間
(2)部品の働き−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−2時間
(3)コイルの巻き方半田付けの仕方、材料の加工などいわゆる技術−−3時間
(4)ものづくりの楽しさ−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−1時間

 これにスパーヘテロダイン受信機や電波の伝ぱん、測定などを加えるととても1日では伝えられない文化を私たち「ラジオ製作愛好家」は持っているのではないでしょうか。
 私は、56才の時に医師より肝不全と腎不全のため、
「貴方の命は後1週間です。」
 と死の宣告うけました。その時私は、家族や多くの周りの人々の協力によって、自分のしたいこと楽しみたいことは全部やったと感謝の気持ちで一杯でした。やがて医師の宣告のとおり死が迫ってきて意識が混濁してきました。家族の顔も妻と娘とが区別がつかなくなり、声の違いでやっと区別出来るまでに重篤な状態に陥りました。その時、自分の人生は満足したが、先の時代に生きた人間として、自分の楽しんできた文化を伝えることを忘れていたことに気づきました。しかし、もう身体は寝返りどころか、指一本動かすことができない状態になっていました。
「自分の楽しんで来た文化を伝えることを忘れていたんだ」
 そう思ったのは死の直前だったのです。もう天国にはコリンズ(アメリカの有名な無線機メーカー)の無線機もいえビス1本も持って行けないことに気づいたのです。

 横道にそれましたが、私が、あなたが楽しんでいる「ラジオづくり」は、この地球上の大事な文化であることを忘れてはいけないと思います。

 さて、本題に戻しますと、あなたは、
「教える」
「発見する」
 は、どんな違い、どんな意義を感じますか。
 私は、教員という仕事をしてきました。教員となってずっとこの二つの価値観について追いかけてきました。「ラジオ作り」の体験から、どちらかというと生徒さんが、
「発見する」
を大事にしてきました。ところが、いわゆる「発見学習」というのはとても時間がかかるのです。もう一つ生徒さん自身が「課題」としてとらえてくれていないと「発見学習」が成立しないのです。従来方式の知識を与える方式の授業は、指導がとても楽です。早い話が、
「教科書にこう書いてあるから覚えなさい。」で済むのです。ところが発見学習では、生徒さん自身が課題をもち、課題解決のための仮説を設定し、実験検証することになります。そうして、見つけた結果が発見です。これでは、知識注入型指導法に比べて何倍も時間がかかるのです。私は、小学校教員が長かったので結局すべての教科で発見学習は時間的制約で出来ず、理科と算数で主にこの方式で授業をしてきました。
 
 ラジオ作りも同じように指導法でまだ迷いがあります。時間との戦いです。

10 トロイダルコアの共振周波数
 トロイダルコアの共振周波数はディップメーターを使ってもディップが浅くて測定しにくいのです。特に組み立ててしまった後はますますディップが浅くなり、測定が困難です。「トロイダルコア活用百科」山村英穂書(CQ出版社)の389ページから、「トロイダル・ディッパー」というトロイダルコアの共振周波数を測るディップメーターを発見しました。無精な私は作るのが面倒なので手持ちのディップメーターが利用できないものかと回路をみていました。
「なんだ、発振コイルの線をトロイダルコアを通しているだけではないか!!」
と気が付きました。早速無理矢理鰐口クリップでディップメーターの発振コイルから線を引き出し、トロイダルコアをその線を貫通させてみました。気持だけディップメーターの針が動くようですが、やはりディップが浅くてよく分かりません。そこで発振コイルからの線をトロイダルコアに1ターン巻いてみました。これでやっとディップメーターの針が1mm位ディップするようになりました。強引にですがトロイダルコアの共振周波数がわかるようになりました。

強引に発振コイルから線を出す トロダルコアに1ターン線を通す


11 水晶発振器やセラミック発振子のテスト方法

 周波数の刻印の読みとれない水晶発振器やセラミック発振子のテストの簡単な方法です。といっても新しい方法ではなくごくあたりまえのやり方です。カウター付きのディップメーターのコイルの代わりに、水晶やセラロックを差し込みます。端子が小さいので手で押さえてテストします。ディップメーターの発振強度のボリュームや周波数調整用のバリコンを回しますとどこかで発振します。ボリュウムやバリコンの位置で多少周波数が動きますがこの周波数が水晶やセラロックのおよその周波数です。セラロック(商品名でしょうか)は、製造メカーにより表示してある周波数の10パーセントも発振周波数が違うものがあります。ディップメーターでおよその発振周波数を知っておいて実際に発振回路に組み込み、セラロックに並列または直列にコンデンサーを入れて正確な発振周波数を得ます。
 まだ私自身やったことがないのですが、ショップで買う前に、
「ちょっと発振周波数をチェックさせて下さい。」
と言ってやおらディップメーターを取り出し、テストさせてもらえるのでしょうか??????

500kHz表示のものが540kHzで発振していますが、発振
回路に組み込んでも520kHzまでしか下がりませんでした

12 テスト用電源

 トランジスタ機器を製作しているときにちょっとした実験用の1.5V〜12V位の電源があるといいなと思います。勿論安定化電源も持っているには持っているのですが、手元に簡単な電源も欲しいと考えた訳です。そこで、家庭や職場でみんなが捨てた電池を再利用することにしました。みんなが捨てた電池ですが、大食いの懐中電灯などにはもう使えなくとも、50mAや100mA程度の小電流を流すには、捨てられた電池も「すてたものでもない」のです。特に単一電池は容量が大きいのでねらい目です。
使用出来るかの判定は、豆電球を付けてみます。全くつかないものはさすがに使えません。ぼんやり以上つけば使えます。
 電池ケースが初期投資で、奮発して下さい。電池1本毎にタップを付けます。マイナスは共通で、黒のクリップをつけておきます。そして、電池ケースに1本毎にタップをつけます。1本目にクリップを付ければ1.5V、2本目につければ3Vと自由に電圧を取り出せます。プラスの線には赤いクリップをつけて絶対にプラスとマイナスを間違わないようにします。
 これで、電圧自由で「ただ」の実験用電源が完成です。おじさんが職場にいたとき皆さんが捨てた電池を電池ボックスから拾って使っていました。(みんなに笑われていたようですが、決して気にしてはいけません!!!)


続く 駄作を考案中