実験 局部発振コイル
筆者 ラジオおじさん 原 恒 夫
1 ハニカムコイルが作れません
スーパーラジオの心臓部である局部発振(OSC)コイルは、いつ頃からハニカム巻きになったのでしょうか。私が、5球スーパーをはじめて作った昭和30年には、すでに局部発振コイルは、ハニカム巻きになっていました。ハニカム巻きは、浮遊容量が小さくかつ大きなインダクタンスのものが作ることが出来ます。今、スーパーラジオを作ろうとすると手に入りにくく、自作しようとしてもハニカム巻きは私のような素人には出来ません。
では、スパーラジオの局部発振コイルは、ハニカム巻きでないとだめなのでしょうか。実験してみましょう。
ハニカム巻きにする大きな理由は、先に述べましたように、「浮遊容量」が少ないことです。浮遊容量が大きいと、バリコンを最小容量にしても所定の高い周波数が受信出来ないことです。例えば放送波帯(BC帯)は540kHz〜1620kHzまでですが、1400kHz位までしか受信できないと、1400kHz以上にある放送が受信出来ないのです。ハニカム巻きはコイルの容量が大きく取れる、つまり、小型につくられるということは、小泉総理ではありませんが、「たいしたことではない」といえましょう。
早速、ソレノイドコイルで局部発振コイルを作ってみました。TRIOの局部発振コイルの容量が115μHとありましたので、同じ容量になるよう直径17mmの塩ビパイプに0.2mmのホルマル線を巻いてみました。
元祖TRIOのOSCコイル(左) | 自作したOSCコイル | コアで容量可変に |
さて、自作の塩ビパイプの局部発振コイルはどうだったとおもいますか? なんとこれが全く問題がありません。540kHz〜1700kHzまでもが聞こえるではありませんか。
結論 少し大きくなる(直径17mm長さ50mm)というだけでなんの問題もなく動作し、また、シャーシーの中に収まるのです。
そこで、おじさんは少し工夫してみました。ジャンクボックスに転がっていたアミドンの114#43と82#43にコイルの容量が115μHになるように巻きました。#43は、AL値の結構高いコアですので、巻き数は10数回で115μHになりとても簡単です。カソードタップはアース側2〜3回で問題なく発振してくれました。ただコイルを1回増減すると約10μHも容量が変わってしまい発振周波数の微調整ができません。バッテングコンデンサーで単一調整をとるならまったく問題がありません。114も82も発振してくれたのですが、少し小さい62タイプのコアでは、異常発振してしまい安定に動作しませ
んでした。
親子バリコン用225μHのOSCコイル | 右上がトロイダルコアに巻いたOSCコイル |
結論 小型にするならトロイダルコアにコイルを巻きましょう。
ただしAL値の小さいコアに巻くと100回もまかなければなりません。トロイダルコアに100回巻くのはとても大変です。
2 雑 感
局部発振コイルは「絶対ハニカム巻き」と思いこんでいた私は、ソレノイドコイルやトロイダルコアに巻けることがわかって安心しました。ただし、ソレノイドコイルにする場合は、極力浮遊容量を少なくなるよう短く配線しましょう。トロイダルコアは、温度特性の悪い物があって、いつのまにか周波数が動いて聞こえなくなっているコアがありました。アミドンの#43は、そんなことはありませんでした。トロイダルコアは、プラスチックビスでがっちりシャーシーに固定すべきのなのでしょうが、私は、1mmのホルマル線を使い、ラグ板に線を半田付けして振動を与えても周波数が変動しないようにしました。